甲状腺

甲状腺の病気は決して珍しいものではありません

甲状腺のイメージ写真

甲状腺の病気は決して珍しいものではなく、例えば女性の10人に1人以上の方が橋本病の体質を持っていますし、甲状腺の結節性病変は、成人の20パーセント程度に認められるというデータがあります。
また妊娠時には、甲状腺のわずかな機能変化も影響があるということがわかっています。

この身近な甲状腺について、当院では、院内で迅速にホルモン値を測定しエコーで形態を検査し、皆さんの不安が少しでも早く解消できるよう努力いたします。

そもそも甲状腺とは?

喉仏(のどぼとけ)のすぐ下にあって、蝶が羽根を広げたような形のものが気管を取り囲むように存在している組織が甲状腺です。
この臓器自体の重さは約10~20g程度です。
甲状腺では、主に全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。

甲状腺疾患の種類

甲状腺疾患にはいくつかありますが、よく知られているのがバセドウ病と橋本病、そして甲状腺腫瘍です。
甲状腺の働きの面からは、甲状腺機能亢進症と機能低下症となります。
バセドウ病は甲状腺ホルモンが大量に分泌されることが多く、代謝が活発になって、いつも走っているような状態となります。
走り続けると動悸や頻脈、発汗、疲労、体重減少などが見られますが、まさにこのような症状が現れるということです。
また、橋本病は、逆にホルモンが低下して、新陳代謝が悪くなります。
動作がゆっくりで疲れやすい、むくみやすく体重が増え心肥大となります。
また、皮膚が乾燥してカサカサ、髪の毛が脱けることもあります。

甲状腺腫瘍には、甲状腺腺腫、腺腫様結節、甲状腺がんなどがあります。

甲状腺がんについて

甲状腺がんとは、甲状腺に発生する悪性腫瘍のことで、主な種類として乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫などがあります。
ただし甲状腺がん患者様の9割以上が甲状腺乳頭がんです。
ちなみに乳頭がんは、気管や食道などに浸潤したりすることもありますが、進行は遅く、10年後の生存率が95%以上と非常におとなしいがんでもあります。
なお、甲状腺がんの患者様はがん患者全体の1%ほどです。

症状は初期の段階で現れることはほぼないので、健康診断や頸動脈超音波検査で見つかることも少なくありません。
がんが進行して首のリンパ節に転移するとしこりを感じるようになり、さらに進行すると声がれ、飲み込みにくさなどを感じることもあります。

2011年3月11日に東日本大震災が発生、その際に福島第一原発の放射能事故が起きました。
福島県では東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による子どもの甲状腺への影響を調べるため、こども全員の甲状腺検査を行っています。

当院では、甲状腺がんを発症しているどうか不安という方につきましては、甲状腺検査や健康相談も行っています。