糖尿病

このような方はいらっしゃいませんか?

  • 食べるのをガマンしても、血糖が下がらない、やせない…
  • 健診で血糖が高いと言われている…
  • 妊娠糖尿病なのできちんと管理したい…
  • 治療を始めたが、症状が無いので、受診を中断している…
  • 薬の副作用がこわくて、治療をやめてしまった…
  • 1型だがカーボカウントがうまくいかない…
  • 合併症が進んでおり、今後のことが心配だ…
食べ過ぎのイメージ写真

ここ10年、糖尿病については、インクレチンや尿に糖を出しやすくする薬の開発、インスリンの進歩など、また、針を刺すことなく血糖をモニタリングできるようになるなど、治療法は目覚ましい発展をとげました。
早くからきちんと治療すれば、糖尿病による合併症も防ぐことができる時代です。

当院では、

  • HbA1cの値を院内ですぐに測定し治療に反映
  • ガマンするだけではない食事や運動療法のご案内
  • その人に合ったお薬を選択
  • 血糖値の「見える化」を行い、より良い治療を考える

など、最新の機器や治療もいち早く取り入れながら、糖尿病専門医、糖尿病療養指導士、管理栄養士がチームを組んで診療いたします。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度が高くなることで、放置しておくと全身にさまざまな影響があらわれる病気です。
そもそもブドウ糖は人体にとって欠かせないエネルギー源ですが、膵臓から分泌されるインスリン(ホルモンの一種)が減ったり効きが悪くなることで、ブドウ糖が利用できなくなり血糖値が上がります。
その結果、初期の段階では無症状ですが、やがて、のどが渇く、尿が多い、傷が治りにくい、集中力の低下、疲労感といった様々な症状が現れたり、気がつかないうちに高血糖で目の網膜や腎臓、神経などが侵され、長い間には心臓や脳など全身の血管にも影響がでることもあります。
さらに症状が急激に悪化すると、昏睡状態(糖尿病性アシドージス)に陥るなど生命に危険が及ぶこともあります。

糖尿病の分類

インスリンが全く分泌されなくなるか、出が悪くなる、もしくは量が充分でも作用不足を起こすようになると血糖値が高いままの状態で維持されるようになり、糖尿病を発症するようになるのですが、その中でも、1型糖尿病と2型糖尿病については、次の通りです。

1型糖尿病

主に自己免疫性疾患やウイルスなどが原因となって、膵臓機能が支障をきたし、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されることでインスリンが全く出なくなるか、少量しか出なくなることで発症するのが1型糖尿病です。
1型は膵臓のインスリンの分泌機能が極端に低下していたり、あるいは現在分泌されていても分泌細胞を保護するため、治療では主に体外から注射を介して、直接インスリンを補充するインスリン療法が行われます。

2型糖尿病

2型糖尿病は、加齢や遺伝的な要因が主な原因と言われますが、食生活の欧米化が進んだことによる、塩分、糖分、脂肪分が多い食事の摂り過ぎ、嗜好品であるお酒や喫煙などの過剰摂取、さらに慢性的な運動不足、仕事による過労や人間関係から生まれるストレスなどが複雑に絡み合うなど、日頃の生活習慣の影響で膵臓機能が低下することで発症することがほとんどです。

糖尿病による3大合併症

糖尿病には同疾患がきっかけとなって、別の病気を発症することがあります。
これが糖尿病性の合併症です。
糖尿病を発症すると高血糖な状態が慢性的に続くようになります。
この影響で血管がダメージを受け、主に細小血管に障害が起きて、各器官に影響が出始めます。
以下に挙げる3つの糖尿病性の合併症はとくに患者様が多いことから糖尿病三大合併症と言われています。
これらは自覚症状に乏しいのが特徴で、発症したころには他の合併症が同時に起こっていることも珍しくありません。

糖尿病網膜症

網膜には無数の細い血管が張り巡らされていますが、糖尿病の発症によりこれらの血管が阻害されることで視力が低下するようになります。そして重篤になると失明することもあります。
そのため、糖尿病網膜症は日本人が中途失明する原因疾患の上位に常に位置しています。
糖尿病を発症したからといって、直ちに糖尿病網膜症を発症することはありませんが、糖尿病患者様はとくに目の異常がなくても、定期的に検診を受けて早めに対策をとる必要があります。

糖尿病神経障害

糖尿病の患者様が発症する合併症の中でも比較的多いです。
糖尿病による血糖値の高い状態が続くと、手足のしびれがみられるほか、擦り傷や刺し傷などを負っても少しの怪我であれば気づかないなど手足の末梢神経障害も現れます。
例えば神経障害により、感覚が鈍くなった結果熱さを感じにくくなり、ストーブの近くにいたら、いつの間にか火傷を負っていたということもあります。
そのほか、自律神経障害の症状として、筋肉の委縮や筋力の低下、胃腸の不快感、発汗異常、立ち眩みなどもみられるようになります。

糖尿病腎症

左右に2つある腎臓ですが、全身の血液から老廃物を集めて尿をつくる働きをしています。
これも毛細血管で構成されていて、糖尿病が進むと老廃物だけではなく大切な栄養分も尿に捨ててしまうようになります。
発症初期は症状が無く、症状が現れる頃にはかなり進んだ状態で、むくみや息切れ、食欲不振、疲れやすいといった症状が現れるようになります。
そして腎機能が著しく衰えるようになり、さらに進行すると腎臓機能そのものが停止、すると尿は作られず、排出することが困難になります。
なお糖尿病腎症は、一旦発症すると回復することが難しく、末期の腎不全となると人工透析(作られなくなった尿の毒素を腎臓から人工的に取り除く)や腎移植をする必要があります。

糖尿病の治療

糖尿病の治療の基本は、主に食事療法と運動療法です。これらだけでは血糖値のコントロールが難しい場合は、内服薬やインスリン、GLP1による薬物療法を行います。

食事療法

食事療法で最も大事なことは、適正なエネルギー量を適正な栄養バランスで適正な時間に摂取することで、食べてはいけない食品を制限することではありません。
なお、栄養バランスのとれた食事を摂り続けるのは意外と難しく、普段の生活習慣の中で意識的に改善を行うのが重要です。
なかでも、常習化してしまっている外食や間食、アルコールの過度な摂取というのは、1日に必要とされるエネルギー量が過多になるケースもあるので特に注意が必要です。

運動療法

運動療法のイメージ写真

運動療法は、食事療法と共に糖尿病治療において最も基本的な治療法です。
効果としては、運動をすることで体内のブドウ糖や脂肪酸が多く利用されるようになり、血糖値を低下させる、あるいはインスリン抵抗性を改善させるといったことが期待できます。
なお必要な運動量ですが、ハードなものは必要なく、ゆったりと全身の筋肉を使う程度の有酸素運動で充分です。
具体的には、ウォーキングであれば25分程度、自転車では20分程度、水泳であれば5分程度です。
ただし、できるだけ毎日続ける必要があります。

なお、合併症を発症している場合や薬剤による治療を行っているのであれば、運動が制限されることもありますので、運動の内容や時間などは医師と相談の上、決めるようにしてください。

薬物療法

次に薬物療法ですが、あくまでも食事療法・運動療法をきちんと守った上で行う治療です。
薬を服用しているからといって食事を増やしたり、運動を中止したりしてはいけません。

その人ができる食事療法、運動療法を行っても、血糖が目標値まで下がらない場合、その病態によって、以下のようなお薬の処方を検討します。
肥満や運動不足でインスリン抵抗性が高いことや、膵臓からインスリンが十分に分泌されていないことが背景にあることが多いようです。

内服薬

ビグアナイド薬
肝臓での糖の合成を抑える
チアゾリジン薬
筋肉や肝臓でのインスリンの働きを高める
スルホニル尿素(SU)薬
インスリン分泌を促進する
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
食後高血糖の改善
DPP-4阻害薬
血糖が高い時にインスリン分泌促進、グルカゴン抑制
α-グルコシダーゼ阻害薬
炭水化物の吸収遅延、食後高血糖改善
SGLT2阻害薬
腎での尿中ブドウ糖排泄促進

注射薬

GLP−1作動薬
DPP-4阻害薬の良い作用を強めたお薬
インスリン製剤
注射でインスリンを補充する

糖尿病を予防するために

糖尿病を予防するには、日頃からの習慣を見直すことも大切です。
ひとつは早食いです。よく噛まずに飲み込むような食事をするとインスリンの分泌が間に合わないことがあり、このような状態は血糖値の急激な上昇が起きるようになります。
そのため、食事の際は慌てずによく噛んで、ゆっくり食べるようにしましょう。
これにより、血糖値が急激に上昇することを抑えられるようになります。

食べ方の順番にも気をつける必要があります

まず、食物繊維の多い野菜から先に食べることで、糖分が食物繊維に絡まり、通常よりゆっくりと吸収されるため、食後の血糖値の上昇を抑えることができます。
また、インスリン分泌を促すお魚などの良質のタンパク質を先に食べることで、その後に食べた炭水化物による血糖の上昇を抑えることができます。
これらのことを習慣づけることで、無意識な状態であっても予防に努められるようにしていきましょう。